色合いの変更
色合いの変更

石コロの山?!ビートとは?

畑に石コロの山?

10月中旬頃、この時期の畑を眺めると、不思議な光景が目に入ります。
畑の片隅に、何やらゴロゴロしたものが積み上げられているのです。
 

一見すると、「畑の石でも拾い集めたのかな?」とも思いますが、それにしては量が多すぎる気もします。
実はこれ、収穫した「ビート(甜菜)」なんです!
 

サトウキビ同様、ビートは「砂糖大根」とも呼ばれ、「てんさい糖」という砂糖の原料になります。
日本国内では、なんと北海道だけしか栽培されていない作物なんですよ!
 

美瑛町の2018年の農作物の作付面積は、小麦が 3,167ha と最も多く、次いで飼料用作物が2,430ha、ビート(甜菜)が1,081haとじゃがいもの808.9haよりも実は多いんです!
また美瑛では、毎年農作物の植える土地を変える「輪作」を行っており、その「輪作体系」の中のひとつにビートも含まれています。
他には小麦、じゃがいも、豆類を主体として、毎年作付けが変わる農作物の彩が、美瑛らしい丘のパッチワーク模様を作り出しています。
 

ところでビートがどのように育てられているか見たことありますか?
 

2月中旬頃、北海道の畑にはまだ雪がいっぱいですが、ビートの栽培は始まります。
あたたかいビニールハウスの中で、ペーパーポットに種を植え、元気な苗を育てます。

 

雪がとけると、ビニールハウスで育った苗を畑に植え替えます。
最近では労働力不足問題や作業時間の短縮、手間を大幅に省くことができるということもあり、ビートの苗を植えるのではなく、種を直接畑にまく「直まき」も増えてきています。

5月中旬、植えられたビート畑の様子

真夏の日差しを浴びてすくすくと育っていきます。

ビート畑を初めて見て、ほうれん草と間違う方がいます。
それもそのはず!ビートはほうれん草と同じヒユ科の植物だからなんです!

畑一面に青々としたビートの葉が広がります(8月撮影)

秋は朝晩の寒暖差が大きくなります。この寒暖差こそ、甘み成分を生み出すのに絶好の条件。
ビートはたっぷりと糖分を蓄えていきます。


そして収穫の時期を迎えると、畑で葉の部分を切り落とし、根の部分のみを工場に運びます。
根の部分を細かく切って、温水につけて糖分を抽出し、ろ過して煮詰め、結晶と糖蜜に分けます。
それぞれを乾燥させると、結晶は「上白糖」、「グラニュ糖」になり、糖蜜は「てんさい糖」になります。
純粋な砂糖の結晶は無色透明で、結晶が光を乱反射するため白く見えます。雪や氷が白く見えるのと同じなんですね。
 

では「てんさい糖」の茶色は着色しているの?それとも焦がしているの?と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、「てんさい糖」は「グラニュ糖」などの純度の高い結晶とは違い、糖蜜を乾燥させているだけで、その茶色は蜜を含んだまま乾燥させた天然の色なのです。
 

そのようにして、ビートの根は砂糖となり、葉やビートパルプ(搾りかす)は北海道内で家畜のエサとして有効活用されています。
ちなみにビート1個の重さは800g~1㎏程度。その1個から約コップ1杯に相当する(170g前後)砂糖ができるそうですよ!

こ~んな山を見つけたら、それはお砂糖の山です(笑)

でも、なぜこんなに山積みにして、畑に置いてあるんでしょう??
それは、順番があるからなんです。
 

なんの順番かと言うと、ビート車と呼ばれるトラックが来るのを待っているんです。
美瑛町で収穫されたビートは、士別にある製糖工場に運ばれていくのですが、
いっぺんに運んでしまうと工場の稼動が追いつかず、ビート車の数も足りません。
そこで、各農家さんの畑に取りに行く順番を、あらかじめ決めてあるんですね。

 

よーく見ると、畑の入口に農家さんの名前と番号を書いた看板が立ててあり、
ビート車はそれを目指してやってくる、というわけです。
取りに来る順番が遅めのところは、シートをかぶせてタイヤの重しをのせてたりします。
これは、雪が積もった後の運び出しになることを想定しての対処だったりするんですね。

いやはや、農家さんもビート車の運転手さんも、大変お疲れ様です!

美瑛の丘を青々と彩るビート

美しい美瑛の景観は農家さんの営みにより作り上げられています。
そんな農作物を間近で見られるツアーもありますよ。
美瑛での農業や農作物、自然や歴史などをガイドの案内で、畑の中を農家さんの特別な許可を得て歩きます。

★ツアーの様子はこちらの体験記をご覧ください^^
【体験記】美瑛・パッチワークの丘 畑DEフットパス