大地の贈りもの~春色のカーペット
雪どけの4月、可憐な花たちが美瑛の森を彩ります。
12月から3月まで続く、美瑛の長い冬。
しかし、冬が終わったといっても、すぐに春になるわけではありません。
積もった雪はなかなか融けず、まだ地表に緑は見当たりません。
パッチワークの丘を生み出す農業景観も、まだ農家さんが作物を植える前なので、丘にも色がありません。
早春の美瑛の丘は、まだ味も素っ気もない風景なのです・・・
そんな土色の大地に、4月半ば、ようやくカラフルなお花たちが咲き始めます!
でも、木の上を見上げても見つけられませんよ。
逆に、よ~く足下を探してみてください。
母なる大地が、素敵な春色のカーペットを敷いてくれていますよ!
雪どけの4月にしか見られない、森の小さなお花たちに会いにいってみましょう!
⚠️ご注意⚠️
自然界に自生している野の花を摘んではいけません。
絶滅危惧種もあり、生態系を脅かす危険があります。
生態系の保護のため、歩道や柵の外には出ないでください。
次世代に美しい自然を残すため、ご協力をお願いいたします。
1水芭蕉
わー! まるでファンタジーの世界みたいですね!!
透き通った小川が森を流れ、鮮やかな黄緑色の葉っぱに、真っ白な百合の花も満開・・・ここは魔法の森?! それとも妖精の秘密の場所?!
こちらは、水芭蕉ですね!
百合の仲間で、湿地帯に群生しています。
北日本やサハリン、カムチャッカ半島などに自生しています。
実は、花に見える白い部分は葉っぱです! 本当の花は真ん中の黄色い部分だそうです。
水芭蕉は、とてもキレイなお水があるところでしか育ちません。
現代では、なかなかそうした場所が少なくなってきています。
美瑛で一番キレイに水芭蕉が見られる場所は、「美馬牛の森公園」です。
塔のある美馬牛小学校の目の前にあり、毎年とても立派な水芭蕉が咲いています!
木道も整備されているので、辺り一面の水芭蕉を観賞できますよ!
小さな流れの音、透明な水面に映るお日さまや木々の陰が、水芭蕉の美しさを引き立てます!
【ちょっと豆知識】
北海道に生息するヒグマは、冬眠明けに水芭蕉の根っこをよく食べるそうです。
なんでも、なが~い睡眠中に溜まった毒素や老廃物を排出するのに役立つそうです!
水芭蕉は毒草で、吐き気や下痢をもよおすそうですが、クマはその作用を利用しているんですね。
2カタクリ
カタクリは、日本全国で自生しています。
ここ美瑛ではたくさん咲きますが、多くの地域では自然環境の破壊により、数が少なくなっています。
春の丘を巡ると、道端で日陰になっている土手などに、満開のカタクリが咲いています!
鮮やかな紫色と、裏っ返しになったようなユニークな形をしているので、すぐに見つけられますよ!
強風の日の傘に見えませんか?(笑)
カタクリを観賞するのに一番いい場所は、美瑛町の郊外にある「聖台ダム公園」です。
そこには明るい木立があって、カタクリの花が辺り一面に咲きます!
木漏れ日の下、素敵な紫のお花に囲まれて、のんびりとお散歩ができます~
見渡す限りの紫のカーペット…
【ちょっと豆知識】
「カタクリ」というと、「片栗粉」が頭に浮かびますよね?
このカタクリは、あの片栗粉と関係あるのでしょうか???
実はその昔、片栗粉はカタクリの根っこから作っていました。
しかし、小さなカタクリの根っこから採れる量は限られるので、明治時代以降、片栗粉はジャガイモから作られるようになりました。
でも、名前はオリジナルのまま、「カタクリ」の名が使われているんですね!
ちなみに、こちらの「聖台ダム公園」ですが、美瑛の桜の名所としても知られています。
カタクリの花から2週間ぐらい経った5月上旬ごろになると、桜のお花見もできますよ!
聖台ダムには、春のお花がいっぱいですね♫
まるで美しい日本画のようですね…
3エゾエンゴサク
エンゴサクは北半球に広く分布していますが、特にアジア地域に多く分布しています。
北海道に咲くエンゴサクは、「エゾエンゴサク」と呼ばれています。
カタクリと同じように、日陰の土手や木立の中に咲いていることが多いです。
アイヌの人たちは、エゾエンゴサクの根っこをよく食事で使っていたそうですよ!
トランペットのような形をしたお花は一風変わっているので、森の中では目立ちます。
色は鮮やかなブルーですが、少し紫に近いものやピンクに近いものもあります。
群生しているところなら、そのわずかな色の違いを観察することができるかもしれません。
こんなに美しい色合いが見られるなんて、目の保養にピッタリですね!
この写真では、青と紫の2色が見られますね!
エゾエンゴサクとカタクリは、よく一緒に群生していることが多いです。
カタクリの紫とエゾエンゴサクの青のコントラストは、とっても素敵ですよね!
カタクリ、エゾエンゴサク、フキノトウ・・・春のカラフルトリオ!
4福寿草
この明るい黄色の花は全国各地で見られますが、美瑛では日なたの場所に咲く最初のお花です。
木々に葉っぱが芽吹く前に、いち早く咲きます。
丘や森にも自生していますが、お庭にもよく咲いていますよ!
美瑛町の市街地を散歩してみると、お宅のお庭でよく見かけます。
このお花は、「福寿草」です。
旧暦の元旦のころに咲いていたことから、新年を祝うお花として縁起の良い名前が付けられました。
お花の色や形が金貨に似ているとも言われています。
森に咲く金貨・・・でもこの美しさはお金以上の価値がありますね!
曇りの日や夜の間はギュっと花を閉じ、太陽の光が出るのを待つのも福寿草の特徴です。
そう考えると、福寿草は金貨よりも、輝く太陽に見えてきませんか?