色合いの変更
色合いの変更

「僕たちが美瑛に来た1983年は、まだまだ観光のまちとはなっていませんでした。よくこんなところに来たね、と言われましたよ。」就農ではなく、ものづくりをする移住者として第1号だったという南さん。出身は札幌、愛知県の瀬戸市にて器づくりの修行を積み、いつかは北海道で活動したいと考えていたところ美瑛に辿り着いたそうです。

 

人生をかけて追求するものを探して。

“90年代は修行先の先生の作風や、自分が海外を旅していたときに影響を受けたものが反映されていました。その作風で、札幌や旭川、帯広など道内の美術館で巡回展を行ったこともありましたが、どうも納得がいかないんです。僕たちのような仕事は、生活のために作ることや誰かの評価を気にしながらやってしまう時期があると思うのですが、まさにそうなっていたのかもしれません。そのなかで誰しもがそうだと思うのですが、作るものに必然性を求めていくわけです。2000年代になり、僕は「ここの場所だからできること」ということを意識しはじめました。”

皆空窯
南さんの作品が揃うギャラリー。南さんご夫妻と陶芸体験もすることができます。

住所:北海道上川郡美瑛町白金
TEL:0166-94-3354
http://www.kaikukiln.com

きっかけは、日々の仕事の中から。


“そう言うと格好いいですけど、人生をかけて追求するものはひらめいて生まれるわけではありません。日々の仕事、僕たちのやっていることは一つのものを完成させること。いわゆるルーティーンです。そのなかで、完璧を目指していくわけですが、思いがけない失敗や思い通りにならないこともあります。僕が今取り組んでいる「氷裂」というシリーズは、まさにそんななかで生まれました。でも、この場所で作る必然性を求めていなければ、そこに気づかなかったかもしれません。”

問題意識を持つことと、それを共有すること。


“今美瑛にはたくさんの観光客が来てくれています。それを単純に喜んでいるだけではなく、今後も引き継がれていかなくてはいけません。ただ、その美しい風景も農家さんたちが作っているわけですし、青い池も利用しやすいように整備されています。それは、誰かがそのために環境を作っているということですし、お金もかかっています。例えば、自分の家の近くの24時間営業のコンビニでは誰かが働いてくれているわけですし、それが当たり前だと思ってはいけませんよね。そういう風に、これでいいのだろうか、自分では何ができるだろうと、日々の生活や観光に来た皆さんが考えるきっかけを作っていかなくてはいけないのかもしれません。僕は自分の作品を通して、それを実践していければと考えています。 ”

南さんのmy BIEI