美瑛が人気の観光地に変化して行く様子を見ながら、美瑛町で「とうきび人形」を作り続けて30数年。美瑛生まれ、美瑛育ち、美瑛からは引っ越したことのない生粋の美瑛町民、嵯城幸子さんに、その活動をはじめた経緯から、想い、そしてこれからの美瑛についてお話を伺いました。
“子どもの頃は、一家に一頭馬がいて農作業はすべて馬が頼りでした。町中まで行くのも、冬は馬ソリに湯たんぽをのせて、行っていたことを覚えています。遊ぶものも、そんなにない時代です。家のまわりにはまだ林が多く、丘の高低差を慣らし、林を開拓して畑作業をしやすくするという国の事業以前の景色を、今でも覚えていますよ“。
“前田真三先生のおかげで、美瑛に観光客が来るようになりだした時、美瑛にはお土産らしいものがありませんでした。そこで自分たちで作ろうと思いはじめた時、とうきび人形を思い出しました。家は酪農をしていましたので、その餌となるデントコーンの皮で祖母が作ってくれた人形でよく遊んでいたのです。前田真三先生のアドバイスで、当時は自分たちのお店でしか売っていませんでしたが、新聞やTVで取り上げてもらい、たくさんのお客様に来ていただきました。たぶんこれまでに1万体以上は作ってますね。“
“近所のおばあちゃんがデイサービスに行っているのですが、そこで新しく覚えた麻雀が楽しくて仕方がないと笑顔で話してくれました。何歳になっても、新しいことを楽しめることは本当に素晴らしいなと感じました。これまでの美瑛はどちらかというと観光客向けの考えになっていたかもしれません。でも、これからは住んでいる人を第一に考えて、そのおばあちゃんのように楽しめる毎日を過ごせるまちになるといいですね。 “