チビスロウ美瑛
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き貴     「いつか写真家として、北海道で暮らしたい」。地元の人しか使わないような裏道の先に広がる丘の風景が、18歳の中西敏貴さんに一つの夢を抱かせた。長い間、抱き続けたその夢が現実のものとなったのは、中西さんが40歳を迎える頃のことだった。写真家として家族と共に暮らす拠点を構えた、美瑛にある林の中の土地。それまでに幾度となく訪れ、農家をはじめ、地元の人との関係が築かれた場所で、中西さんは写真家としての一歩を力強く踏み出した。それから数年、着実に積み重ねた日々は実を結び、現在は「写真家中西敏貴」として世界を飛び回る生活を送っている。生活は変わっても、「純粋に撮りたいものがあるから」と、拠点は変わらず美瑛にある。言葉の端々に、若い頃から中西さんを迎え入れ、支え続けてくれた美瑛の人々への感謝が滲む。写真には、撮る人の眼差しが表れる。最近の中西さんの作品からは、人の営みが感じられる。美瑛の風景は、代々美瑛に暮らす農家の営みそのものなのだと教えてくれる。夢を抱かせ、叶えてくれた場所カメラの向こうに見る美瑛の風景と今20中西敏大阪府出身。18歳で写真家を志し、サラリーマン生活を経た後、40歳で美瑛町に移住。キヤノンの広告用写真や、各種雑誌へ写真を提供している。妻の純子さんと2人の子どもと4人暮らし。美瑛在住の写真家として、美瑛の農業を「内側」から切り取った写真集。2019年5月に発売となった。としさん|写真を通して広がる風景|

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